美容のいろは

まずはじめに

美容師のお仕事についてお話しします。

美容師は年間で何千人から何万人の髪に触れます。
髪は一人ひとり違い、100人いれば、100通りのパターンがあります。
多くを経験する専門家だからこそ出来る美容師のお仕事のひとつに、
「毛髪診断」というものがあります。

「毛髪診断」はお客様の髪の状態を判断します。
髪の太さ、本数、強度、癖の有無、ダメージ度、メラニン色素の種類やその量、
撥水毛なのか、吸水毛なのか、頭皮の状態、パーマやカラーの状態やその履歴などなど。
また、それらの頭の部位による違い、1本の髪の毛の中での部位による違い。
カットやパーマをする場合には、骨格や毛流も判断します。

そういった判断が出来るプロフェッショナルとして、
お客様それぞれにあった薬剤や商品の選択、施術が出来るものとして、
また、衛生や薬品などの専門知識を有するものとして、
美容師という名の国家資格が与えられているのです。

美容師法第六条で、【 美容師でなければ、美容を業としてはならない 】と決められています。
美容に関連する、〇〇認定、○○△級というようなものが多く存在しますが、
あくまでも、そのスキルを協会で認定しますというものであって、国が与える資格ではありません。
美容を業としてよいのは国家資格者の美容師だけです。

少し余談ですが、美容師法第二条に【 「美容所」とは、美容の業を行うために設けられた施設をいう 】とされています。
ですから本来は「美容室」でも「美容院」でもなく、「美容所」という言い方が正しいのですが、
このホームページでは「美容室」という言葉を使用しています。
関東では「美容院」、関西では「美容室」という言い方をすることが多いと思われます。
全国的に、「美容所」という言葉を使用されているお店はとても少ないです。

サロン専用、プロフェッショナル専用

国家資格を有する者による選択や技術、使用者への説明が必要であるとして、
美容師が使用する薬剤には「美容技術者専用」、「プロフェッショナル専用」というような文字が入っています。
美容師がお客様にお売りする商品には、「サロン専用」などという文字が入っています。
皆さんが普通にドラッグストアで購入出来る、「サロンのような仕上がり」と書かれた商品とは根本的に違うということがおわかり頂けるかと思います。
「サロンのような仕上がり」とは、「まるで美容室での仕上がりのような」という意味です。

実際にはどう違うのか?

わかりやす例として、シャンプーを取り上げてお話しします。

まず、メーカーさんの商品開発コンセプトが違います。
一般の方用商品の場合、買いやすい価格設定、洗った時の指どおり、泡立のよさ、持続する香り、髪のなめらかさ、ボトルのデザインなどなど。
消費者のウケのいいものを開発し、イメージアップの為にCMにも力を入れます。

その結果、原材料を安くするために洗浄成分は化学合成洗浄成分を使用。
これは、ツンとする強い匂いがある為に、大量の香料を入れて中和しなければならなくなります。
そして必要以上の洗浄力をもち、きしみや指通りが悪くなってしまうので、滑らかさを出す為にシリコンや石油系の油分を投入します。
品質保持の為に防腐剤やアルコールも当然使用します。
このようにどんどん余分なものが入ることになります。
「サロンのような仕上がり」感を出す為に、本来必要ではない化学ものが大量に投入されています。
それらは髪を洗うごとに、髪や頭皮の毛穴に成分が蓄積し、やがて老廃物となります。
初めて使った時は良いと感じるのに、そのうち「あれ?」と感じるのは、実はこれが原因の一つです。

パッケージの裏の成分表を見ていただくとわかりますが、どれを見てもほぼ同じ成分です。
配合量の違いや、香料、着色料の違いだけだということがよくわかります。

商品のイメージアップのために、シルクプロテインやツバキ油などを配合するのですが、
コストの問題でその量は超微量で、髪に有効な濃度には程遠いものです。

ではサロン専用は?
髪や頭皮にとてもやさしい安全な成分を使用し、余分な物や石油から作られたものの使用量が極めて少ない。または一切使用していない、 そういう商品が多いです
また、専門家によるお客様に合った商品セレクトや説明があることを前提に、髪や頭皮の状態に合わせて細かく種類を分けてあるものもあります。

サロン専用品はサロンでのみ販売が許可された物なのですが、ネットやドラッグストアなどで売られていることがあります。
これは製造メーカーもどういったルートで流れてしまっているのか懸命に調査しているのですが、把握出来ていないのが現状です。
当然正規ルートの商品ではありませんので、使用期限が切れているなどの問題商品が多いので注意してください。

サロン専用なら大丈夫?

そういう商品が多いです」という書き方をしたのは、残念ながらすべてがそうとは言えないからです。
良いものは価格が高くなり、余分なものを入れないということは、
泡立が良くない、香りが弱く持続しない、手触りやツヤなどの劇的な変化がない。使用期限が短い。
という結果になってしまいます。
ほんとうは、髪や頭皮のためにはこういう物の方が良いのですが、
一般の方が求める物と大きくかけ離れてしまうため、
ほんとうは良いものであるのに売れない。
だから売りやすいようにと添加物などを多く入れ、限りなくドラッグストアの商品に近いサロン専用商品も存在するのです。

残念ながら美容師の中には、それをわかっていて「すごくいいですよ!」「ぜんぜん違いますよ!」
などと、そういう商品を積極的に勧める人もいます。
また、成分表示の内容がちんぷんかんぷんな美容師が多いのも事実です。
お求めの際は、是非信頼の出来る知識豊富な美容師から説明を受けてご購入されることをおすすめします。

その他、このホームページの「Q&A」や「用語解説」でも詳しく解説していますので、是非お時間のある時にご一読ください。

つぎに、サロンによる料金の違いについて

ここ数年で美容室は全国的にすごく増えました。
料金もまちまち。どうしてこうなったのでしょう?
一つは、美容組合への加盟店がほとんどなくなってしまった為です。
組合の力が強かった時代は、美容室は組合に皆加盟し、
価格破壊が起こらないように、組合がその地域にあわせた出店場所、料金設定などを管理していました。
組合の力が無くなった、というよりは、組合に加盟するメリットがなくなった為、
現在では組合に加盟していないお店が圧倒的に多いのです。
その結果、出店場所、定休日、料金設定など、すべてばらばらになってしまったのです。

考え方の違い

サロン経営者のサロンのあり方の考え方はまちまちです。
美容のプロフェッショナルとして。
サービス業として。
商売として。
よりよいものを提供したいと考えるもの。
美容業界をリードしたいと考えるもの。
金儲けの一手段でしかないと考えるもの。
どれも否定も肯定もしませんが、ほんとまちまちだなぁ。と感じます。

ある美容室での経験(裏話)

私はこのお店を始めるまでに、10年ほど数件の美容室で勤務しました。
その中で半年だけ勤務したある美容室でのことです。
それはそれはひどいものでした。
技術は中身より、数やってなんぼ。の世界でした。
オーナーからの指示にはとても驚きました。
「あなたの技術の完成が100だとしたら、50くらいで仕上がりとしてください。」
「クレームがあった場合は、その分お安くなっています。と答えてください。」
「パーマがあたって無いと言われた場合は、水でぬらして無理やりカールを出して、これまっすぐですか?曲がってますよね?だからパーマあたってます。と言って帰ってもらってください。」
ワンレングスのカットをするのに、時間短縮のためにバリカンでまっすぐに髪を切ったり、パーマは普通の巻く数の半分から1/3の本数で。
私は心が傷み、退職しました。

使う薬液には驚かされました。
それはそれはひどい物ばかりです。
私が一番驚いたのは、薬剤にトリートメントとして入れるオイル。
なんとそれは、靴磨きにつかう動物性の油でした。
そりゃすごくツヤでますよね・・・

安かろ悪かろ

ある美容室の場合、
お店には大きく、ある有名ブランドの名前の薬液を使用と書いてあります。
嘘ではありません。確かに使用しているのはそのブランドが製造した薬液です。
ところが、一般サロンでは手に入らないものです。
大量に仕入れることにより、メーカーにオリジナル商品を作ってもらうことが出来るのですが、
そのオリジナルパーマ液の1本の価格はなんと、缶ジュース3本分程度。
1本のパーマ液でショートヘア5人分取れますので、一人あたりは・・・
パーマ液や毛染って施術の時、当然ながら地肌にもつくんですよね。私なら自分の髪には怖くて使いません。

高ければいいと言うものでもないですが

上にも書いたように、料金設定は完全に自由です。
でもどう考えても、一定以上に下げると、どこかを削るしかありません。
それは技術であったり、薬剤であったり。
逆に高ければいいのか?と言うと、そうとも言えません。
そりゃ、ここまでやれば高くなるわな!と言うのもあれば、
ぼったくりでしょ・・ってのもあります。
ご利用される方が満足されるならば、それでよいのだとは思います。

サロン選びは慎重に

ただ、プロフェッショナルであるにもかかわらず、
法律で禁止されている行為を堂々と行っているお店や
いい加減なお店がたくさん存在するのも事実です。
私の知る限りで、美容師法や薬事法などの美容業に関する法律を100%遵守しているお店はほぼありません。
(美容業に関する法律は美容師法しかないと言う記事を見かけますが誤りです。業を営むには多くの法律が関係します) これは現場経験のある美容師ならば否定する人は誰もいないでしょう。
ま、美容師法そのものが今の時代にあっていない部分が多いというのもその理由のひとつなのですが。
もちろん、とても真面目で尊敬出来るオーナ-や、素晴らし美容師さんもたくさん存在します。
そんな素敵な美容師さんと巡り会えるために、サロン選びは慎重に・・・